先日友人数名に「最近、プライベートな悩みごとの相談はAIチャットにしてる」と話したら、「わかる」と理解を示してくれた人が半分、「AIに個人的な悩み事を相談して何になるのか」と懐疑的な人が半分、という結果でした。
ChatGPTやGeminiのようなAIチャットに対して、友達とするような極個人的な相談をするのを意外に思われる方や、抵抗がある方もまだ多くいるでしょう。
一方で、SNSではAIに恋愛相談をしたり、AIを疑似恋人として扱ったりする投稿がバズることも多く見られるようになっています。
今回は、「なぜ今、恋愛相談の相手にAIを選ぶ人が増えているのか?」という理由とメリット、そして注意点を掘り下げてご紹介します。
今、恋愛相談の相手にAIを選ぶ人が増えているのは本当?
日本リサーチセンターの2025年6月の調査では、20代と30代の男性の4割、20代と30代の女性の3割が生成AIの利用経験ありと回答しました。
参考:【NRC デイリートラッキング】生成AIについて 2025年6月調査
またSNSでは「ChatGPTに恋愛相談してみた」「AI彼氏と別れました」といった投稿や動画が話題になり、AIとの対話を”新しい恋バナの形“として楽しむ人が増えています。
また、AIチャットに名前をつけたり、日常の報告をして励ましの言葉をもらうことで、自己肯定感を高めている人も少なくありません。
今やAIは、実在の友達が恋愛の悩みに寄り添ってくれるのと同じように、”頼れる相談相手”として多くの人の心を支えています。
友達よりAIに恋愛相談したくなる「納得すぎる理由」5つ
友達ではなくAIに恋愛相談をするのには、AIになじみがない人も思わず納得するに違いない理由があります。
どんな理由があるのかみていきましょう。
1. プライバシーを守りながら本音で話せる
恋愛の悩みは、とても個人的で繊細な内容です。親しい友人であっても、「こんなこと相談したら気まずくなるかも」「他人に言いふらされたらどうしよう」と、少なからず不安を感じる方もいるでしょう。

その点、AIチャットは匿名で利用でき、外部に内容が漏れる心配も極めて少ないです。また、自分の個人情報や相手の名前を伏せたまま相談できるのも、安心して相談できるポイントと言えるでしょう。
2. いつでも何度でも、時間を気にせず相談できる
「誰かに話を聞いてほしい」と思ったとき、すぐに相談できるとは限りません。深夜ふと不安になったときなど、誰かに連絡しづらいタイミングもあるでしょう。そんなとき、AIであれば24時間365日、変わらない親切な態度で対応してくれます。
しかも何度でも同じ話を聞いてくれるし、AIの利用プラン次第では何時間でも相談に応じてくれるでしょう。
思い立ったときにすぐ相談できて、相手に気を遣う必要なく自分の悩みにだけ集中して許される存在というのは、実在の友達では難しいところです。
3. 感情に左右されない、冷静で公平なアドバイス
相談相手が親しい友達であれば、自分に親身になって話を聞いてくれる分、時には感情的な反応が返ってくることもあるでしょう。相手の価値観次第では「否定された」と感じて悲しくなることもあるかもしれません。また、冷静なアドバイスがほしいときに得られないこともあるでしょう。
一方でAIは、個人的な感情に影響されることはありません。

基本的にフラットで客観的な視点からアドバイスをくれます。感情的になりがちな恋愛の悩みを整理するうえで、心強いサポートとなるでしょう。
4. 自分を肯定してくれる存在としてのAI
AIには、相談者を否定せず、前向きな言葉を返す傾向があります。
好きな人や恋人の態度に傷ついているとき、いくら正しい意見であったとしても自分を否定するようなアドバイスは耳に入れたくないこともあります。そんな時、AIは相談者を否定せず、勇気づけてくれるでしょう。
そうしたAIならではの優しいやり取りが、自信を取り戻すきっかけになることもあります。
もちろん、否定的な意見であっても一般的に正しいとされる回答がほしい場合は、AIにそれを指定してアドバイスを求めることも可能です。
5. 会話を通して、自分の気持ちが整理できる
他人に悩みを話しているうちに、それまでぐるぐると思い悩んでいたのがスッキリしてきて、考えがまとまっていくことはよくあります。AIとの会話であっても、同じ効果が得られます。
AIに悩みを相談すると、問題解決に導くための核心的な質問をされるはずです。その答えを考えるうちに、「自分はどう感じているのか」「本当はどうしたいのか」に気付けるでしょう。
AIへの恋愛相談は、自分の本当の気持ちと向き合い、次に起こすべき行動を決める手助けをしてくれるのです。
ハマりすぎは危険!AIに恋愛相談をするときの注意点
AIへの恋愛相談は便利に使えて、悩みの解決に向けた前向きなステップを応援してくれる点でも実用的だと言えます。
その一方で、AIとの恋愛相談を上手に活用するなら知っておきたい注意点もあります。どんな注意点があるのかみていきましょう。
1.感情の理解に限界がある
AIは質問のパターンや言葉の組み合わせ、インターネット上にある情報などから回答を作るだけで、相談者の複雑で微妙な感情・気持ちを理解した上で回答しているわけではありません。
感情を持たないため、相談者の気持ちに本当の意味で寄り添っているわけではないのです。
AIのアドバイスは一般論であり、個別の細かい事情に完全には対応できない点は理解して利用しましょう。
2.AIのアドバイスを鵜呑みにすると”自己不信”に
AIの返答は基本的に相談者に対して肯定的な上に説得力のある論理も出してくるので、「自分はこう思ったけど、AIの方が正しいのかな」と感じてしまうことがあります。
その結果、自分の直感や考えに自信が持てない自己不信状態になりかねません。
友達に相談をしたときと同様に、AIはあくまでアドバイザーであり、行動を決めるのは自分自身です。自分の気持ちを大切にすることを忘れないようにしましょう。
3. 個人情報・プライバシーのリスク
恋愛相談は特にデリケートな内容が多く、自分の個人情報はもちろん、相手の名前や連絡先などを不用意に入力するのは危険です。
AIチャットサービスの利用規約やプライバシーポリシーを確認し、匿名化した表現を使うなど慎重に取り扱いましょう。
4.ハルシネーション(誤情報)に注意する
AIは信頼性の高い回答を目指しますが、時に「それっぽいけれど間違っている」情報“ハルシネーション”を生成することがあります。
AIの回答はあくまで参考程度にとどめ、特に重要な判断をしたいときには他の信頼できる情報源と照らし合わせましょう。
5.”本物の人間関係”を構築するチャンスを逃している
AIだけを恋愛相談の相手とするのは、本当の友達や家族と語り合うチャンスを逃しているとも考えられます。
人間同士の会話には本物の感情のやりとりがあり、そんな感情の対話が心の支えになることも少なくありません。
AIも適度に併用しながら、時には友達と涙を見せたり笑い合うことも大切にしたいですね。
AI恋バナを活用するなら、これだけは押さえておこう!
AIを恋愛相談に活用することは、うまく使えば強力な“第3の選択肢”となります。
友達に話しづらいときや気軽に相談したい場面で、24時間対応のAIは心強い味方です。
しかし、AIを過信したり、依存して人間関係を疎かにするのには注意が必要です。
自分の気持ちを第一に、AIはあくまで便利なサポート役として活用するのがよいのではないでしょうか。
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