「地方移住を考えているけれど、住む場所がなかなか見つからない…」
「住居費を抑えたいから、空き家をリフォームして住みたい」
そんな方に見てほしいのが、「空き家バンク」です。
この記事では、空き家バンクの概要から、実際の使い方、注意すべきポイントまで、空き家を活用した移住を検討中の人に向けてわかりやすく解説します。
「空き家バンク」って何?
空き家バンクとは、主に地方自治体が運営する「空き家の所有者と利用希望者をマッチングするサービス」です。
空き家を探している人が「空き家バンク」で条件に合った物件を見つけたら、自治体や仲介業者を通じて所有者に連絡を取り、詳細の確認や内見、契約に向けた交渉を行います。
「空き家バンク」に登録されている物件
空き家バンクには、古民家、元商店、平屋、空き地つきの家、家庭菜園ができる土地付き物件などが登録されています。
中にはリフォームが必要な物件もありますが、価格が安いケースが多く、DIYに挑戦する人にも人気です。
また、居住用だけでなく、カフェやギャラリー、ゲストハウスなど店舗としての利用が可能な物件も多数あります。
空き家バンクが移住希望者に選ばれる理由
空き家バンクが移住希望者に注目されているのは多くのメリットがあるためです。
■価格の安さが魅力
宅建業者が仲介しない場合、仲介手数料がかからず、物件価格自体もリーズナブルです。
中には家賃1万円以下や、長期居住を条件に無償で譲渡される物件もあります。
■自治体による支援制度
移住支援金やリフォーム補助金など、空き家バンクを通じて住まいを探す人に向けた自治体の支援が受けられることも多く、初期費用を抑えられます。
■地域とのつながりを築きやすい
空き家の契約に際し、自治体や地域企業が間に入ることで、移住後の地域との関係構築や生活サポートが得やすいというメリットがあります。
こうした背景から、空き家バンクを通じた空き家利用は魅力的な選択肢として、移住希望者に支持されています。
空き家バンクの使い方:登録から契約まで
実際に空き家バンクを利用したい人のために、登録から契約までの流れを詳しく解説します。
ステップ①:空き家の条件を明確にして物件を探す
まず最初に、自分が希望する空き家の条件(地域、価格、間取り、築年数、ロケーション、用途、リフォームの要否など)を明確にすることが大切です。
次に、利用したいエリアの自治体が運営する空き家バンクのウェブサイトを確認しましょう。
興味のある物件が見つかったら、まず自治体の空き家バンクに利用者として登録します。
移住したい地域が明確に決まっていない人は、国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」の活用がおすすめです。
自治体を横断して効率よく物件情報を検索できます。
ステップ②:気になる物件に問い合わせ・内見申し込み
物件の問い合わせ先は、自治体または地元の空き家コーディネーターです。
ここで物件の管理者(空き家の所有者・自治体から委託された宅建業者や不動産業者)を紹介され、物件の下見の予約をします。
また、事前に自治体による面談・相談会を行うケースもあります。
空き家の活用や移住促進に熱心な地域の場合、移住体験や移住ツアーなどのイベントを企画していることがあるので、興味がある人はチェックしましょう。
ステップ③:物件の見学
実際に現地を訪れ、希望する物件を見学します。
建物の状態の確認、空き家がある周辺地域の雰囲気、近隣住民のコミュニティの様子など、実際に住むことを想定して念入りにチェックし、不明点があれば遠慮なく質問しましょう。
ステップ④:契約と調整
空き家の購入または入居を決めたら、物件の所有者と条件を確認し、契約の交渉に入ります。
多くは所有者と利用希望者の「個人間契約」のため、契約内容や法的手続きの確認が必要になります。
自治体は基本的に不動産の仲介業務を行わないため、多くの場合、所有者との直接交渉が必要になります。
自治体によってはトラブル防止のため、地元の宅地建物取引業者(宅建業者)に仲介を委託しているケースもありますが、その場合は仲介手数料がかかります。
ステップ⑤:リフォーム・引っ越し
交渉がまとまり契約が成立すれば、取引は完了となります。
傷みがある物件の場合はリフォームや清掃が必要になります。
リフォーム費用助成金制度がある地域もあるので、事前に確認しましょう。
空き家バンクを使う際の注意点
空き家バンクは魅力的な制度ですが、利用する際には知っておきたい注意点があります。
避けられるトラブルに巻き込まれないように、事前にチェックしておきましょう。
建物の老朽化とリフォームの必要性
空き家バンクに登録されている物件の多くは築年数が古く、雨漏り・シロアリ被害・断熱性の低さなどの問題がある可能性があります。
「想定外の修繕費がかかった」「家賃は安いものの住みづらい」など後悔をしないためにも、物件の状態を正確に把握し、リノベーションの必要性や修繕費について事前に検討しましょう。
現地見学時に自治体職員や専門家と一緒によく確認することが重要です。
契約に関するリスク
空き家バンクでは、仲介業者が入らない物件もあり、契約内容や権利関係の確認は自己責任になります。
不動産取引や自治体の補助金制度には、それぞれ関連する法律や必要な手続き、登録条件があるため、専門的な知識が必要な場面も多くあります。
不明点は空き家の持ち主・自治体職員に相談し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
契約の締結前には物件と契約書を隅々までチェックしましょう。
コストの確認は綿密に
物件自体は安価でも、リフォーム費用、登記費用、税金、保険料などが別途かかります。
一見安価に見える物件でも、総費用を計算すると予想以上の出費になることがあります。
また、空き家利用の助成金など、移住関連の支援金制度が充実した自治体であっても、支援対象の条件は複雑なことがほとんどです。
自分がその支援を本当に受けられるのか、よく確認しましょう。
地域コミュニティとの関係性
地方では自治会活動が活発なことがあり、地域ルールに馴染めるかが移住後の生活の満足度に影響します。
例えばごみの捨て方や地域社会での役割分担など、その地域特有のルールや慣習があることも多いでしょう。
「住んでみたらイメージと違った」とならないためにも、地域の人間関係を知る機会を持つことが重要です。
移住前に現地を訪問し、周辺住民や自治体担当者と交流を持つことで、移住後のギャップを避けることができます。
空き家バンクは地方移住の心強い味方
空き家バンクは、地方移住を希望する人にとって、住まい探しの強い味方です。
低価格の空き家物件や、自治体の支援制度、地域とのつながりなど、多くのメリットがあります。
その一方で、建物の老朽化による修繕の必要性や契約上のリスク、移住者に優しい地域コミュニティかどうかなど、注意すべき点も存在します。
事前の準備と情報収集を怠らず、専門家のアドバイスを活用しながら進めることで、多くのリスクは回避できるはずです。
安心して新天地での生活を始められるよう、自治体や専門家と相談しながら、理想の空き家を見つけてみてください。
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