好きな雑貨をたくさん並べた自分のお店を持てたら…と考えたことはありませんか?
頭の中では「こんな雰囲気のお店にしたい」というイメージがあるのに、実際には「何から始めればいいのかわからない」と足踏みしてしまう──そんな人も多いのではないでしょうか。
この記事は、起業シリーズ第2弾として「雑貨屋開業」をテーマにお届けします。
準備の進め方や必要な資格、費用の目安、そしていきなり店舗を構えなくても始められる方法までを、やさしく解説します。
最後まで読めば「夢を形にしたいけど、まだ動けていない」という人の最初の一歩になるはずです。
雑貨屋開業を考え始めたら、まずやること
まずは、「自分はどんな店をつくりたいのか」を言葉にしていくことから始めましょう。
ここでの整理が、その後の仕入れ・内外装・価格設定などあらゆる意思決定の基準になります。
コンセプトをはっきりさせる
はじめに「お店の価値(世界観)」「なぜ始めたいのか」を言語化します。これがブレないほど、商品選定や内外装の一貫性が高まり、ターゲット層に刺さりやすいお店になります。
まずは、次のことを考えてみましょう。
- 誰に(年齢層・性別・ライフスタイル)
- どこで(住宅街/オフィス街/観光地 など)
- どんな雰囲気で(北欧/ミニマル/温もり系 など)
- 何を扱うか(生活雑貨・ビンテージ・文具・価格帯 など)
考えた内容は、ノートやパソコンでドキュメントなどにまとめておくと、後で見返せて便利です。
また、書き出して整理することで、さらにブラッシュアップされる効果も期待できます。
店舗イメージを具体化する
コンセプトがまとまったら、その世界観をどう見せるかを考えていきましょう。
店名や内外装のデザイン、色使い、看板や広告などのフォント、ディスプレイの雰囲気まで一貫させることで、お客さまに「どんなお店なのか」が伝わりやすくなります。
店名は思いを込めるだけでなく、覚えやすさや検索のしやすさも大切です。
また、ネットで同名のお店がないかを調べておくと安心です。同じ名前の店舗がすでにあると、お客さまが検索したときに他店が先に表示されてしまったり、商標の問題に発展するリスクがあります。
SNSでの発信やショップカード、POPなども統一感を持たせれば、お客さまから見て「きちんとしたお店」という印象を持ってもらいやすくなります。
簡単な事業計画に落とし込む
「事業計画」というと専門的に感じるかもしれませんが、最初はメモ書き程度でも大丈夫です。大切なのは、どのくらいお金がかかって、どのくらい売上を見込めるかをざっくりイメージできることです。
最低限まとめておきたいのはこの3つです。
- 初期費用:物件取得費、内装、什器、最初の仕入れ、広告など
- 毎月の支出:家賃、仕入れ、光熱費、人件費など
- 毎月の売上目安:1日の平均客数 × 客単価をざっくり計算
たとえば「1日20人が1,500円ずつ買う=1日3万円、1か月で90万円」というように簡単に試算してみるだけでも、現実的に成り立つかどうかが見えてきます。
もし融資を受ける段階になったら、金融機関用の事業計画書(PL:損益計算書のこと。売上や経費を整理する表)をつくる必要があります。
競合を見て、差別化について考える
お店の個性を出すためには、すでにある雑貨屋やオンラインショップを観察して、自分ならどこで違いを出せるのかを探すことが大切です。
店舗に足を運んでディスプレイや価格設定、お客さまの動きを見てみると、商品構成や見せ方のヒントが見えてきます。
さらに、SNSやショッピングアプリで人気の雑貨屋をチェックすると、トレンドやお客さまの反応もつかみやすくなります。
そうしたリサーチを通して「価格で勝負するのか」「商品の独自性を打ち出すのか」「伝え方や購買体験で差をつけるのか」といった方向性を決めていきましょう。
雑貨屋を始めるために知っておきたい資格・手続き
雑貨屋を開くとき、基本的には「特定の資格は不要」です。ただし、取り扱う商品や営業スタイルによっては、追加で許可や申請が必要になるケースもあります。
ここでは、雑貨屋を始めるうえで押さえておきたい資格・手続きについてご紹介します。
必要になる可能性のある許可・資格・届出例
以下は、扱う商品や営業形態に応じて必要となる許可や手続きの例です。
許可・届出 | 必要となるケース | 主な内容・ポイント | 参考リンク |
古物商許可 | 中古品・アンティーク品・リサイクル雑貨を扱う場合 | 管轄警察署に申請。手数料は19,000円。許可取得まで概ね40日。 | 警視庁 |
飲食店営業許可 | 雑貨屋に併設して飲食物を提供する場合 | 各都道府県の保健所へ申請、衛生設備基準を満たすことが条件 | 東京都保健医療局 |
食品衛生許可(営業許可) | 食品を販売(加工なしでも包装品を含む)する場合 | 食品衛生法に基づく許可を保健所から得る必要 | 厚生労働省 |
酒類販売許可・酒類小売業免許 | アルコールを販売する場合 | 通信販売酒類小売業免許などの制度あり | 国税庁 |
このように、雑貨屋の開業自体には特別な資格は必要ありませんが、扱う商品や営業スタイルによって追加の許可が必要になることがあります。
事前に「自分はどんな商品を販売するか」「どんな形で営業するか」を整理し、必要な手続きを早めに確認しておくのをおすすめします。
雑貨屋開業にかかるお金はどのくらい?
雑貨屋を始めるときに一番気になるのが「いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。
結論から言うと、実店舗を持つか、ネットショップで始めるかによって必要な金額は大きく変わります。
実店舗を開業する場合
店舗を借りて雑貨屋をオープンする場合、おおよそ500万~600万円が目安とされています。
ただし、店舗の広さや立地、内装のこだわり次第で金額は大きく変動します。
初期費用の目安
開店準備に一度だけかかる費用の例は以下の通りです。
- 物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料など):10万~100万円
- 内外装工事費(内装・看板など):20万~100万円
- 什器・備品購入費(棚・レジ・パソコンなど):10万~50万円
- 商品仕入れ費(初回の商品をそろえる費用):10万~50万円
- 広告宣伝費(チラシ・SNS広告など):5万~30万円
参考:OMEMIE「雑貨屋を開業する流れは?資金の目安や事例から学ぶ成功のポイント」
工夫次第で費用を抑えることも可能です。例えば居抜き物件を活用したり、什器を中古でそろえたりする方法があります。
運転資金の準備も忘れずに
店舗を回していくには、人件費・仕入れ・家賃・広告宣伝費など毎月の支出(運転資金)が必要です。オープンしてすぐに黒字化するのは難しいため、少なくとも数か月分の赤字をカバーできる資金を準備しておくと安心です。
ネットショップを開業する場合
ネットショップで開業する場合、物件や内装にかかる費用が不要なため、実店舗に比べて初期投資を大幅に抑えられます。
- 主な費用:
ネットショップ作成サービス利用料、商品仕入れ費、備品(パソコン・カメラなど)、広告宣伝費 - 費用の目安:
数十万円~で始められるケースが多く、環境が整っていれば仕入れ費用のみで開業できる場合もあります。
いきなり店舗を持たなくても始められる方法
「雑貨屋をやってみたいけど、いきなり店舗を借りるのは資金的にも精神的にもハードルが高い…」という人は多いものです。
そんなときは、リスクを抑えつつ始められるスモールスタートの方法を選ぶのがおすすめです。
ここでは代表的な2つの方法を紹介します。
ネットショップで開業する
まずもっとも始めやすいのが、インターネット上に自分の雑貨屋を持つ方法です。パソコンとネット環境があれば、自宅でも運営できます。
メリットとしては、物件取得費や内装工事費が不要なため初期投資を大幅に抑えられること。
無料のネットショップ作成サービスを利用すれば、商品が売れるまで費用が発生しない仕組みもあり、リスクを最小限にして開業できます。
さらに、実店舗と異なり全国・全世界に向けて販売でき、時間や場所に縛られない点も大きな魅力です。
一方で、注意点もあります。
実店舗のように通りがかりのお客さまが入ってくることはないため、SNSや広告を使った集客が欠かせません。
また、商品を手に取って見てもらえないため、写真や文章で商品の魅力を伝える工夫が必要になります。
イベントやポップアップストアで期間限定出店する
マルシェや商業施設のイベントスペースを活用する方法もあります。
常設店舗を持たず、期間限定で出店するスタイルです。
この方法のメリットは、常設店に比べて出店料が安く済むこと。
そして何より、お客さまが商品を実際に手に取る姿や感想を直接聞ける点です。
これは商品改良や品揃えを考える上で大きなヒントになります。
また、「自分の雑貨が市場で受け入れられるのか」をテストできる機会にもなります。
雑貨屋開業の第一歩を踏み出すために
自分の気に入った商品を自由に販売できる雑貨屋は、多くの人が夢に描く人気の業種です。しかし、いざ行動に移そうとすると「お金はいくらかかるのか」「資格や手続きは必要なのか」と疑問が重なり、足が止まってしまう人は少なくありません。
今回ご紹介したように、雑貨屋の開業には大きな資金や専門的な資格が必須というわけではなく、始め方にもいろいろな選択肢があります。
事業計画や資金準備は、最初は最低限のもので十分です。
実店舗を持たずにネットショップやイベント出店からチャレンジするのも、立派な一歩と言えるでしょう。
大切なのは「自分のお店をこうしたい」という思いを少しずつ形にしていくことではないでしょうか。
今日からできる小さな準備を重ねていけば、漠然とした夢が現実に近付いていくはずです。
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