地方移住といえば支援金を思い浮かべがちですが、実はそれだけではありません。
各自治体が“地域らしさ”を活かしたユニークな制度を展開しています。
今回は、思わず誰かに話したくなるような、暮らしを楽しくしてくれる移住支援を5つご紹介します。
地域の特色を活かす!ちょっとユニークな移住支援策5選
①ペット同伴OKの移住体験(高知県室戸市)
高知県室戸市では、2025年4月から全国的にも珍しい「ペット同伴可能な移住体験住宅」を運用しています。
大切な家族の一員である愛犬と一緒に、室戸市での暮らしを実際に体験できるのが最大の特徴です。施設があるのは漁港に近い佐喜浜地区で、周辺にはサーフィンスポットもあり、海に囲まれた暮らしを味わえます。
最大27泊28日まで滞在でき、利用料は1日あたり1,020円と手頃です。
同伴できるペットは小型犬(体重8kg以下・2頭まで)に限られますが、ケージやトイレトレーなどの基本備品は用意されています。利用者はトイレシートやフードなど日常の消耗品を持参するだけで、ペットと安心して過ごせる環境が整っています。
観光や帰省目的では利用できないものの、実際に地域に暮らす感覚を試すには最適です。
移住を考えている愛犬家にとっては「愛する家族が移住先に馴染めるかどうか」を確認できる点でとても魅力的な施設です。
参考:【室戸市】ペットと一緒に田舎暮らしを体験できる、全国的にも珍しい移住体験住宅完成!
②移住者に子牛1頭を支給(鹿児島県三島村)
鹿児島県の離島・三島村では、全国的にもユニークな移住支援として「子牛1頭の支給」が用意されています。
これは「三島村定住促進対策事業」の一環で、定住を希望する世帯に対し報償として50万円(単身は30万円)または子牛1頭を選べる仕組みです。
子牛の支給は畜産農家として就農する場合に限られますが、黒毛和牛「みしま牛」で有名な三島村で畜産に挑戦したい人には大きな後押しとなります。
対象は55歳以下で農林水産業などによる自立を目指す人。さらに、月額最大10万円の定住助成金(子ども加算あり)、引っ越し費用の補助、低家賃での村営住宅提供など、生活面の支援も手厚く整えられています。
「移住したら子牛がもらえる」というキャッチーな制度は、三島村の基幹産業である畜産を支えると同時に、人口減少対策としての効果も期待されています。
③九州移住ドラフト会議
「九州移住ドラフト会議」は、プロ野球のドラフト会議を模した“コント形式”で進行する、全国でも珍しい移住マッチングイベントです。
地域が「球団」、九州に興味のある人や移住希望者が「選手」として参加し、球団が選手を指名するというユニークな仕組みを採用しています。「指名=移住」ではなく、その前段階として“人と地域との出会い”を提供するのが目的です。
2016年の鹿児島での初開催以来、九州全域に拡大し、これまでに約300名が参加。移住につながった人はもちろん、二拠点生活や地域のPR活動に関わる人など、多様な関わりが生まれています。
イベントは「移住力強化合宿」「指名会議」「ペナントレース」「クライマックスシリーズ」といった段階的な交流プログラムで構成され、数か月にわたり球団と選手が関係を築けるのも特徴です。
参加者は18歳以上で、九州への移住や関わりに関心がある人なら全国どこからでも応募可能。地域の人と出会い、将来の暮らしのヒントを探したい方にとって、移住の可能性を広げるきっかけになるでしょう。
参考:九州移住ドラフト会議
④三世代同居・近居応援金(東京都青梅市)
東京都青梅市では、親・子・孫の三世代が同居または近居を始める場合に、最大20万円を支給する「三世代同居・近居応援金」制度を設けています。少子高齢化が進むなかで、子育て世代を呼び込み、地域全体のつながりを強めることを目的とした施策です。
ユニークな点は、三世代同居・近居が「親世帯からの呼びかけ」をきっかけに始まる点です。
市外に住む子育て世帯が青梅市に転入し、親世帯と同じ家に住む「同居」や、近くに住む「近居」を選ぶことで対象となります。
子育て世帯には定住3年以上で10万円が交付され、親世帯には1万円が支給。さらに同居に伴う住宅リフォームを行った場合には最大10万円が加算されます。
親世帯の呼びかけがきっかけという、青梅市民も移住促進の担い手となる点がユニークな支援策といえるのではないでしょうか。
参考:青梅市「【最大20万円】市内で三世代同居・近居をはじめる方を応援します」
⑤遠距離通勤ENJOY応援金
青梅市では、片道40km以上の鉄道通勤をする市民を対象に「遠距離通勤ENJOY応援金」を交付しています。
長時間の通勤を少しでも快適に過ごせるよう、月額5,000円(定期券所有者)または月額2,500円(テレワーク併用者など)が支給される制度です。
2025年度からは、出勤日数が少ないテレワーク勤務者も対象に加わり、より幅広い働き方を応援する仕組みになりました。
この制度の背景には、2025年3月から中央線快速・青梅線に導入されたグリーン車の利用促進があります。例えば新宿~青梅間のグリーン料金(750円)なら、応援金で月に6回分をカバーでき、移動中に快適に仕事や読書に集中することが可能です。また、青梅市への移住者は最長3年間の支給対象となり、総額18万円まで受け取れる優遇措置が用意されているのも特徴です。
単なる交通費補助ではなく「通勤時間を楽しむための応援金」と位置づけられ、使途は自由です。
青梅市への移住を検討する人にとって、働き方や暮らしやすさを支える支援策といえるでしょう。
参考:青梅市「【最大18万円】遠距離通勤をする方を応援します! 」
ユニークな移住支援で広がる暮らしの可能性
移住支援と聞くと、もっともメジャーな支援策である「支援金」のイメージが強いですが、今回紹介したように地域の特色を活かしたユニークな制度も用意されています。
ペットと一緒に滞在できる住宅や、子牛の支給、ドラフト形式のマッチングイベントなど、その形はさまざま。
こうした制度は、地方移住を検討する人にとって選択肢を広げるきっかけになることも多いでしょう。もし心惹かれる制度があれば、その地域を移住先候補として調べてみてはいかがでしょうか。
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