「起業するなら大都市を拠点にした方がいい」そんなイメージを持っている方が多いかもしれません。
最新の情報が集まり、人材が豊富な都市部はビジネスの中心地になりやすいと言えます。しかし、その常識にとらわれているのは実はとてももったいないことなんです。
実は今、「地方での起業」が注目を集めています。
地方創生を目的とした、国や自治体による手厚い支援制度が整備され、地方での起業はかつてないほど挑戦しやすくなっていると言えます。
「地元に貢献したい」
「自然豊かな環境で、自分らしい働き方を実現したい」
そんな夢や想いを抱いている方にとってもチャンスです。
本記事では、今なぜ地方での起業が魅力的なのか、その理由を具体的かつ詳しく解説していきます。
最後まで読めば、地方での起業に対するイメージが大きく変わるかもしれません!
① 最大300万円もらえる!? 国や自治体の起業支援が充実
地方での起業を後押しする魅力の一つが、国や自治体による手厚い支援制度の存在です。
特に、返済不要の給付型支援金は、創業期の大きな助けとなります。
代表的な制度が、内閣府が推進する「起業支援金」と「移住支援金」です。
制度名称 | 最大支給額 | 対象者の概要 |
---|---|---|
起業支援金 | 200万円 | 地域課題の解決につながる事業を始める起業家が対象。 |
移住支援金 | 100万円 | 東京圏から地方へ移住し、起業や特定の職業に就く人が対象。 |
なんと、これらの制度は併用可能です。
つまり、条件を満たせば、合計で最大300万円もの返済不要の資金を得られる可能性があるのです。
起業や移住のための資金に不安がある方でも、この制度を活用することで、創業期の資金的な負担を大幅に軽減し、事業の立ち上げに集中できます。
他にも、次のような多様なサポートが用意されています。
- 移住創業者向けの融資制度
日本政策金融公庫が運営。東京圏から移住し地方起業する方や地域おこし協力隊としての活動経験がある場合など、特定の条件を満たした場合に特別利率で融資を受けられる。
- 各自治体独自の支援
都道府県や市町村が独自に設ける補助金、家賃補助、相談会、交流会など。
興味のある地域の自治体のウェブサイトで、「起業支援」や「創業支援」といったキーワードを検索してみると、各自治体独自の取り組みがわかります。
こうした手厚い公的サポートは、地方ならではの大きなアドバンテージと言えるでしょう。
② 大都市と比べ固定費が安い
事業を継続する上で、避けては通れないのが「固定費」の問題です。特に、売上が不安定になりがちな創業期には、オフィスの賃料や人件費は経営者の頭を悩ませる要因となります。
地方で起業する場合、固定費は都市部と比較してかなり安く抑えられます。
主なコスト差の例
項目 | 東京都心部の相場 | 地方都市の相場 | 差額の目安 |
---|---|---|---|
オフィス賃料 | 月2万円/坪 以上 | 月1万円/坪 以下も多数 | 50%以上の削減可 |
人件費 | 都市部基準 | 都市部より20〜30%低水準 | 月数万円の差が出る |
参照:三鬼商事「オフィスマーケット 2025年6月時点」
doda「都道府県別の平均年収は?平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】」
削減できたコストは、商品開発やマーケティング、設備投資にまわせます。この資金的な余裕は、創業期の大きな助けとなります。
③ 都市部よりも競合が少ないからチャンスが広がる
ビジネスにおいて競合は避けられませんが、特に都市部では激しい競争が繰り広げられています。多くの競合の中で独自のポジションを築き、生き残るのは容易ではありません。業種によっては価格競争になり、消耗戦になることもあるでしょう。
一方、地方は企業数が比較的少なく、新規参入がしやすい環境です。
大手企業が進出していない・競合企業が少ない市場「ブルーオーシャン」が多く残されています。
たとえ都市部では飽和状態のビジネスでも、地方では先駆者として受け入れられる可能性があります。
また、地域に根ざした商品やサービスは地元で支持を得やすく、顧客との距離も近いことが多いです。柔軟な対応ができれば創業期から熱心なファンを獲得できる可能性があります。
その結果、価格競争に巻き込まれない安定した経営につながります。
④ 地域課題や資源から“独自性のある事業”ができる
新しいビジネスのヒントは、地域ならではの課題や、特有の資源にこそ眠っていることがあります。
【地域課題に関するビジネス例】
- 高齢化 → 買い物代行、配食・見守りサービスの提供
- 子育て世代支援 → 家事代行サービス、地域住民向けコミュニティスペースの運営
- 空き家問題 → リノベーションによる移住者向けシェアハウス事業
こうした地域のニーズに直接応えるビジネスは、地元の人々からの応援も得やすく、地域社会のインフラとして安定した経営につながります。
さらに地域貢献の一環として、大きなやりがいも感じられるでしょう。
【地域資源の活用ビジネス例】
- 伝統工芸 × モダンデザイン → 新しいアパレル・雑貨ブランドの創出
- 豊かな自然 × 体験 → 新たなツアープランの提供
- 地域の特産品 × 新アイデア → 特産品を使用した食品のオンライン販売
地域資源の活用は、その土地の企業にしかできないオリジナリティのある商品の開発につながります。また、地域の名産品・環境・人材を活かすことで、地域経済の活性化にも貢献できます。
⑤ 地域ネットワークが起業家の味方になる
地方での創業や、既存企業の地方移転は、その地域全体の活性化につながります。そのため、企業が飽和している都心部と比べ、地方では起業家を歓迎・応援しようという風土が根付いている地域が多く見られます。
そうした地域では、商工会などの支援機関で、起業家に対して積極的にサポートを行っています。
市役所や町役場など行政機関との距離が近いのも地方ならではの特徴です。親身な相談対応や、補助金申請の支援などを受けられるケースも少なくありません。
こうした公的機関の支援や日々の事業活動を通じ、地元の経営者や住民とのつながりが生まれ、そこから思わぬビジネスチャンスが生まれることもあります。
地域ネットワークの支援事例
地域名 | 主な支援内容 |
---|---|
秋田県・五城目町 | ・地域活性化拠点「BABAME BASE」の運営・商工会・地域おこし協力隊と連携・創業相談、補助金申請サポートなど参照:地方創生テレワーク「秋田県五城目町」 |
長崎県・諫早市 | ・商工会による“伴走支援”・商談会・販路拡大のサポート・補助金・イベント出展のアドバイス参照:諫早市創業支援等事業計画 |
京都府・京都市 | ・自治体・商工会議所などが連携し起業家をサポート・創業セミナー、計画書作成支援・賃料補助、インキュベーション施設の提供参照:京都市情報館 |
こうした強固な地域ネットワークを活用することで、不慣れな土地でも人の温かさに勇気づけられながら創業に取り組めます。
地方にこそ起業を応援する土壌がある
地方には、創業を後押しする仕組みと、起業家を歓迎する温かい風土がそろっています。
政府・自治体による手厚い支援制度、低コストで事業を展開できる環境、競合の少なさ、地域課題や資源から生まれる独自のビジネス、そして頼れる地域ネットワーク。
これらは、都市部にはない地方ならではの魅力です。
起業の夢を叶えたい、地元に貢献したい、そんな思いを持っている方は、ぜひ一度地方での起業を検討してみてはいかがでしょうか。
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